民家再生による環境負荷・コストの削減効果
2000 年8 月
古材バンクの会


1998・1999 年度 京都まちづくり地域貢献活動センター 助成事業
「民家再生による環境負荷・コストの削減効果」報告書
古材バンクの会
(京都市東山区本町17 丁目354 075-532-2103)
研究代表者:長楽活周  あすわ建築事務所
研究実施者:橋本征二  京都大学大学院工学研究科環境工学専攻
      松尾好恵  京都大学大学院工学研究科環境工学専攻
      河野雄一郎 京都大学工学部衛生工学科
      瀧澤雄一郎 瀧沢建築事務所
      藤岡龍介  藤岡建築研究室
      古賀芳智  (株) KOGA建築設計室

はじめに
 従来、日本における民家はその土地の風土を生かし、自然との調和をはかりながら何百年と
いうタイムスパンで生きてきた。しかし、戦後の高度経済成長に伴う大量生産・大量消費の経
済構造は「使い捨て」社会を生み出し、このことは極端に言えば住宅文化においても例外では
なくなってしまった。そして、日本における住宅文化・歴史を考えたとき、戦後のそれは戦前
までのそれと全く断絶してしまうこととなる。長い時間をかけて培われてきた各地域固有の住
宅文化は、今やなくなってしまったといっても過言ではない。民家再生は、現在わずかに残る
住宅文化・歴史に、新しい文化・技術を取り入れて、これを継承していこうという試みの一つ
として始まった。
 一方、近年「環境」という言葉が、あらゆる分野におけるキーワードの一つとなっている。
建設廃棄物の問題、地球温暖化の問題、熱帯林破壊の問題など、住宅も多くの環境問題と密接
に関わっている。日本における1人あたり住宅着工戸数は、他の先進諸国と比較して2〜3倍
にも及ぶが、これは日本における住宅の「使い捨て」状態を端的に表わしていよう。民家再生
は、個々の住宅がもつ文化・歴史を継承しながら、その構成部材を再利用していく行為である
から、こうした「使い捨て」への批判的な要素も含んでいる。実際、民家再生に関わる人の多
くが、「民家再生は環境にやさしい」という意識を持っている。
 しかしながら、民家再生は「どのくらい」環境にやさしいのだろうか。本報告書はこの点に
ついて明らかにすることを目的としたものである。
 さて、民家再生が、住宅文化・歴史を継承する手法としても、環境負荷を削減する手法とし
ても重要であるならば、この普及を図ることの意味は大きい。しかし、一般に民家再生は、通
常の解体・新築と比較して高いと言われる。このこと自身は、民家再生が乗り越えねばならな
い重要なハードルの一つだろう。とは言え、こうした一般的なイメージは、民家再生の実際を
適切に表現しているだろうか。一般に、民家再生が高いと言われる場合には、安価なプレハブ
住宅等を想定し、これと比較しているが、両者では得られる住宅の質が全く異なっている。
 得られる住宅の質を揃えても、民家再生は「高い」のだろうか。本報告書は、この点につい
て検討することも目的としたものである。
 本報告書は3部から構成されている。第1部では、研究成果の概要を簡単にまとめた。第2
部では、第1部で紹介した結果がどのような研究の方法により得られたのかについて説明し、
得られた結果についてより詳しく述べている。さらに、第3部では、環境負荷の検討を行うに
あたって用いたライフサイクルアセスメントの考え方や基礎データ、計算結果を資料として掲
載した。
 やや難しい内容を含んでいるが、少なくとも第1部及び第3部3.1に目を通していただけれ
ば、本報告書のメッセージはお分かり頂けると思う。
 民家再生が、現代の建築に提起するものは多い。本報告書が民家再生の適切な理解と普及の
一助となれば幸いである。
2000 年8 月   
古材バンクの会 



目 次
はじめに
第1部 民家再生と環境・コスト〜研究成果の概要〜 
 1.1 民家再生と環境・コスト
 1.2 民家再生による環境負荷の削減効果
 1.3 民家再生のコストへの影響 
第2部 民家再生の評価手法と7事例における評価結果〜研究の方法と結果〜  
 2.1 民家再生の評価手法. 
  2.1.1 評価の枠組 
  2.1.2 評価の項目 
  2.1.3 環境負荷の計算方法
  2.1.4 コストの計算方法 
 2.2 7事例における評価結果
  2.2.1 対象7事例の概要 
  2.2.2 建替工事の環境負荷・コストの特徴
  2.2.3 再生による環境負荷・コストの削減効果
  2.2.4 建築工事における木材の再利用率と環境負荷の削減効果
  2.2.5 建築工事における木材の再利用率とコストの関係 26
第3部 資料
 3.1 ライフサイクルアセスメント(LCA)  
  3.1.1 はじめに
  3.1.2 LCA の構成要素 
  3.1.3 目的と評価範囲の設定 
  3.1.4 インベントリー分析
  3.1.5 インパクト評価
  3.1.6 おわりに
 3.2 産業連関法により作成した環境負荷原単位 
  3.2.1 はじめに
  3.2.2 対象とした環境負荷
  3.2.3 原単位の作成方法
  3.2.4 使用したデータ
  3.2.5 得られた原単位
  3.2.6 おわりに
 3.3 7事例における評価結果.
参考文献

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