ナレバ人心モ先服ス然レ共一時衆臣伏
シタレトモ流石例無キ女帝故区々の
ぼう議起?故ニ馬子ト太子是ヲ畏レテ
鎮静ノ術ヲハカリココニ於テ国史ノ編
述ハジマレリ是ヲ旧事本記ト名けて
天照大神ヲ陰體ナリト称シテ諸臣
萬民ヲ?つ此ニテ上下帖服ス是全
太子の姦計也太子始ハ仏道ニよって馬
子ニ親附入し遂ニ太子となれ共馬子十
分ニ志を得て天下の事大小掌握して
我意を振ふ太子ハ摂政の名のミにして
仏寺建立して国政ニ一も預る事なし唯
仏興隆計り也然る処推古帝思ひの
外長寿ニして禅位ノ沙汰なし馬子ハ
太子ノ英明をはばかりて国政を授る事
なし太子も終に時を待兼また馬子が
驕暴をいロ?悪ミ終ニ不和となる仍
テ馬子太子を毒殺す太子吐血母妻
子四人一時ニ毒死ス此事河内下ノ
太子の縁起ノ巻物有リ僧徒秘して人ニ不見
